■ 堀内沢マンダノ沢上天狗沢〜部名垂沢下降と森吉山ハイク(おまけ) 2003年8月13日夜-16日 中村お 中村み(記録) 八瀧沢、朝日沢に続いて3度目の堀内沢。訪れた誰もが絶賛するマンダノ沢の蛇体淵で一夜を過ごしたい!と計画するが、なにせ今夏の天候不順、天気予報は雨ばかり。都内から田沢湖まで車を飛ばすのは結構遠いので、出発間際まで迷ったが、雨なら東北花の山旅に転進ということで出かける事にした。 【8月14日】曇時々晴 前夜10時に出発、途中のSAで仮眠をとり夏瀬ダムに到着したのが8月14日の朝8時、既に車が2台停まっている。ところがその隣りに停車させたとたん、突然アブに襲われる。フロンガラスやボンネットにボコンボコンと狂ったように体当たりする大小様々なアブ。初めての経験に、ハンドルを握ったまま固まってしまう私。おまけにシューズも着替えもトランクの中だ。アブ経験済みの相方は一言、「ドアを開けたとたんボコボコになるよ。」と脅す。それより予報の夕方から降る雨による増水が気になってしかたがないらしい。夏瀬温泉まで戻ってみたが、やはりすごいアブの猛攻で、そのために温泉は休業中なのだろうか。 かなり思案をした結果、今日は森吉山ハイキングとし出直すことにした。森吉山へは、いくつかある登山道の中から洒落たつもりではないが、「中村」のという登山口から、阿仁マタギ駅に車を置いて出発する。登り3時間下り2時間半。これが行けども行けども砂利の林道で、車で途中まで入れば良かったとすぐ後悔。登山道に入れば、行けども行けども単調な樹林帯で、既に飽き飽き。展望が開けたと思ったら頂上だった。樹林帯では陽射しも差し込んでいたのに、誰もいない夕方の山頂は冷たい風が吹き荒れる。ふと反対側の登山道に目をやると、気持ち良さそうな湿原の中に敷かれた木道が続いていた。あちら側はお花畑の散歩道だったようだ。ああ残念。 気を取りなおして下山後は近くの阿仁温泉(400円)でリフレッシュ。とても良い温泉で宿泊施設も附帯している。近くの小さな神社で村祭りがあって、ちらりと覗いただけだったが、秋田のなまはげのような素朴な夏祭りで東北ムードが盛り上がる。 【8月15日】曇 明け方に降っていた雨は、出発する頃にはポツリポツリ程度となり、完全武装をして夏瀬ダム着。ところが昨日あんなにいたアブが今朝はほとんどいない。昨日に比べて気温が低いので、動きが鈍ってしまったのだろうか。拍子抜けして車を降りると、出発したばかりの釣りのグループがダム下の河原を横切っていくのが見えた。 堀内沢へはいつもは林道を使って取水口へ向かっていたが、今回は河原から遡行。取水口を越えると雨でいつもより多少増水しており、水もやや濁り気味。しばらく行くと岩に丸太が積み重なって堰のようになっている地点に出る。そこから更に1時間ほどで朝日沢出合着。先ほどのグループはここを拠点に釣り上がるようだ。時々小雨がぱらつくが、増水は思ったほどではなく順調に遡行、お昼には有名な三角岩に出る。相方は念願の三角岩登頂を果たしたが、さすがに先端で立ちあがる事は出来なかったようだ。オイノ沢ではマタギ小屋を見学。以前見たときはすっかり朽ち果てていたが、銀色のトタンで立派に修復されていた。
マンダノ沢に入ると大岩のごろごろしたゴーロが続き、乗り越しに結構疲れる。途中で会った釣り人の話によると、昨日は少なくとも10名と4名のグループがマンダノ沢に入ったようで、釣果もさっぱりとのこと。途中いくつかある10m前後の滝は直登、もしくは小さく巻ける道がついており順調に遡行するが、なかなか蛇体淵まで辿り着かない。すぐ近くまで来ているようなのだが、16時半に適地を見つけビバークすることにする。せっせと薪を集め、久しぶりの焚き火に心が踊る。 【8月16日】曇時々晴 翌朝、テン場前の右に曲がる石を積み上げたような小滝を登り詰めると急に渓相が変わり、小石を敷き詰めた広い河原の先に、ついにあの蛇体淵が出現! ゴーロの続くマンダノ沢の中で、ここは一種独特の別世界を持っている。深緑に透き通る水は、まさに神秘の淵。前にはきれいなテン場があって、どうやら昨夜は客がいなかったようだ。月明かりに浮かぶ淵を眺めながら焚き火を囲めたら、さぞや素晴らしい事だろう。
淵の左を巻いてみると、上部にも立派な滝が掛かっている。それらも一緒に巻いて再びゴーロ帯へ。1時間ほどで右手よりナメ沢が入る先が、下天狗沢との二股なっている。ナメが綺麗との情報により、藪こぎ覚悟で上天狗沢を行く事のにする。出合い先の7m滝を越え、樋状の流れを過ぎてしばらく行くと噂のナメが現れる。時々差し込む陽射しに、赤茶の岩床が輝いている。ナメの合間にも5m、8mといくつかの小滝を超え、左に折れる2m小滝の脇の泥付をずりあがると、源流の二股となり藪となる。 左手を行くとすぐに水は枯れるが、しばらくはルンゼ状となっているので登りやすい。それが終わると本格的な笹の藪コギとなるが、潅木は密ではないので先行の相方が上手くその間を縫ってルートを作ってくれる。八瀧沢の藪コギを思えば楽だよねーなんて話していたら、満開のお花畑に飛び出し、すこし登ると朝日岳山頂に出た。前回トンボが飛び交う中、景色を見ながらのんびりお弁当を広げた山頂も、あいにくのガスで和賀岳は見えないし、盛夏とは思えないくらい風は冷たい。休憩もそこそこに出発すると背後から人の声が聞こえてきたが、人影は見えなかった。
尾根の踏跡を部名垂沢に向かう途中、一瞬ガスが晴れて真っ青な田沢湖が見える。しかしここで油断してしまった。この部名垂沢、2回目の下降ということもあり、確かここら辺だったようなと良く調べもせず、勝手に藪を漕いで下りてしまったのである。断崖絶壁の上に出てにっちもさっちも行かなくなり、登り返すハメとなり約2時間のロス。登山道に出るとハイカーのお父さんと出会い、部名垂沢の下降点まで同行させてもらう。その道はまさに踏跡のどん詰まりにあった。 このコースは沢の中を歩くため、とても一般登山道とは思えないが、先ほどのお父さんは普通のシューズでよく登ってきたものだ。真っ赤な石の川床に足を置くと、真っ赤に水が濁る。しかし悪場にはトラロープもしっかり補強されており、また驚いた事にピンクのテープで印された巻道があちらこちらにあり、これを利用してガレて歩きにくい部名垂沢も、かなり早く下る事が出来た。
夕方も5時近くにな、前方に焚き火の煙が見える。林道に出てからも2時間ほどを夏瀬ダムまで歩かなければならないことを考えると、ビバークするか頑張るか迷っていると、突然ハプニングが! 何と耳に虫が入ったと、相方が気が狂ったように暴れ出したのだ。水を入れてケンケンしたり、消毒液を注入したり、楊枝でほじったり、ヘッ電を照らしたり何をしてもだめ。だいぶ奥まで入ってしまったようなので、もうこうなったら病院で取ってもらうしかないということで、先を急ぐ事にする。 堰堤の上で焚き火をしていたグループは山頂の声の主で、4人で生保内沢から来たという。新しい堰堤も随所に作られていて林道はすぐそこまで延びていた。一つ目の堰堤を越えると、ん、出てきた出てきたわんさかとアブが。とにかく急ぐと、再び天の助けが。さきほどのお父さんが後からやってきて、車に乗せてくれるという。結局悪路を夏瀬ダムまで送ってくださり、本当に助かりました。ありがとうございます。 相方は角館の病院から大曲の病院を紹介され、無事虫を捕獲。アブだと思っていた虫はなんと小さな蛾。でも燐粉アレルギーを持っている人だと、体中に発疹が出てしまうので、たかが虫と侮れないとのこと。どんぱん祭りも馬音内の盆踊りも、このハプニングで見に行けなかったが、大曲の24時間健康ランドで汗を流し、田んぼの中の駐車場から、大接近中の火星の輝きをしばし楽しんだのでした。
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||








